ランナー径計算機
部品重量とランナー長さから最適なランナー径を計算します。
はじめに
ランナー設計計算機は、射出成形金型のメインランナー・サブランナー・ゲート寸法を物理ベースで決定するための専用ツールです。流動抵抗、圧力損失、多数個取り金型での充填バランスを定量的に扱い、寸法精度・外観品質・量産ロット間の再現性を左右する主要パラメータを設計段階で押さえ込みます。バランスドランナー(H パターン/X パターン)を採用すると、各キャビティ間の充填時間差を±5 %以内に維持でき、ショートショット、ウェルドライン、同一金型内のキャビティ間色調差といった不良を防止できます。本計算機は円形・半円形・台形断面を同時に比較します。等価水力直径において円形断面は壁面摩擦損失が最小で、台形断面は片側の型板だけに加工すれば済むため金型コストを抑えられます。樹脂粘度、金型壁温、固化層(frozen layer)の厚みも考慮対象です。PA66・PC・ガラス繊維強化グレードなど高粘度材料は圧力損失が非線形的に増大するため、より大きな直径または短い流路が必要になります。さらに、コールドランナーとホットランナーの選択も比較できます。ホットランナーは樹脂を加工温度に保ち、ショットごとのランナー廃棄を不要にする一方で、コールドランナーは初期コストが低い反面、毎ショット固化材料が発生します。これにより設計者は、金型加工に着手する前に給湯系・ゲート位置・多数個取りバランスを定量的に決定できます。
仕組み
計算の中心は層流管路に対するハーゲン・ポアズイユの式 ΔP = (8 · μ · L · Q) / (π · r⁴) です。ΔP は圧力損失、μ は溶融樹脂の動粘度、L は流路長、Q は体積流量、r は内半径を表し、r の 4 乗依存性が示すとおり、わずかな直径変化が必要射出圧力を大きく変えます。ランナー体積 V = π · (D/2)² · L はランナー重量とショットごとの捨て樹脂量の算出に用います。ユーザーがメインランナーとサブランナーの直径・長さ、ゲート寸法、加工温度における樹脂粘度、ショット容量を入力すると、計算機はランナー総体積(g)、セグメントごとの圧力損失、キャビティごとの推定充填時間を即時に出力します。多数個取りバランスモードでは H パターンと X パターンの両配置を比較し、すべての流路長が幾何的に等しいか(ナチュラルバランス)を判定し、達成できない場合はゲート径やサブランナー径を変更する人工バランス(artificial balancing)の調整値を提案します。これにより、図面確定前に流動解析ソフトに近い精度で代替案を比較できます。
使用シナリオ
- ABS の 8 個取り量産金型を H パターン配置で評価し、四隅キャビティと中央キャビティの充填時間差が±5 %以内に収まるかを金型加工前に検証する場合。
- 既存金型でゲート部の過大な圧力損失によりバーンマークと充填不足が発生している際、ゲート径を 1.2 mm から 1.8 mm に拡大したときの流動改善効果を定量化する場合。
- ガラス繊維強化 PA66 部品について、コールドランナーからホットランナーへ切り替える際に、圧力損失・ショットあたりランナー重量・量産期間全体での予想サイクル短縮を比較評価する場合。
よくある質問
コールドランナーとホットランナーはどう選び分けますか?
ホットランナーは大量生産・多数個取り金型・PC や PA など高価な材料で初期コスト差を吸収でき、ランナー廃棄を排除しサイクルも短縮できます。コールドランナーは小ロット、頻繁な材料切替、ノズル滞留が長いと劣化しやすい熱感受性樹脂に適しています。
多数個取り金型で充填バランスが崩れたときの修正方法は?
ナチュラルバランスが取れない配置では、ゲートに近いキャビティのゲート径を縮小する人工バランス、サブランナー径を段階的に変える方法、あるいは射出点を移動する方法があります。計算機は各流路の圧力損失を表示するので、補正に必要なゲート径削減量を圧力差から直接導出できます。