CNC機械加工計算機
無料の機械加工計算機:速度、送り、公差など
はじめに
MachiningCalc は、CNC のフライス加工・旋削・穴あけと金型作業に必要な現場計算をひとつにまとめた無料のマシニスト計算機ハブです。段取りの合間にハンドブックや表計算を探し回る必要がありません。収録した計算機は、段取り時間を実際に消費する四つの領域を扱います。切削条件(切削速度、送り速度、旋盤回転数、ドリル速度、加工時間)、穴とねじの作業(下穴径、タッピング送り、ねじ寸法、ボルト円座標、真位置度)、材料と締結のデータ(金属重量、硬さ換算、ボルトトルク、有効断面積、ねじ山せん断、ISO 286 はめあい)、そして射出成形の条件(型締力、冷却時間、収縮率、ショットサイズ、保圧時間、ランナー設計、サイクルタイム)です。すべてブラウザ上で動作し、インチとミリの入力に対応し、使用した式も表示するので、プログラムに入れる前に自分の経験と照らして確認できます。
仕組み
このサイトの計算はほとんどが少数の式に帰着し、その式が分かれば開くべき計算機もすぐ決まります。周速と主軸回転数は RPM = (SFM × 12) / (π × D) で結ばれます(D は工具または工作物の直径、インチ)。0.5 インチの超硬エンドミルをアルミで 800 SFM で回すとおよそ 6,100 RPM、軟鋼で 200 SFM なら同じ工具が約 1,530 RPM まで下がります。切削速度計算機には現場で実際に使う材料別の範囲(アルミ 600–1000 SFM、軟鋼 150–250、ステンレス 100–180、チタン 40–80)が入っており、m/min = SFM × 0.3048 で換算します。回転数が決まれば送りは IPM = RPM × 1刃あたり送り × 刃数 で求まります。3枚刃を 6,100 RPM、1刃 0.004 インチで回せばおよそ 73 IPM、加工時間は 切削長 ÷ 送り速度 × パス数 + 段取り です。穴の作業は計算が異なります。下穴はねじ外径からピッチを引いた値(M8 × 1.25 → 6.75 mm、市販の 6.8 mm ドリルに丸める)、ボルト円の穴はピッチ円半径上で 360 ÷ N 度ごとに並び、GD&T の真位置度は公差域と比べる直径値 2 × √(ΔX² + ΔY²) です。材料と締結の数値は密度と規格から得られます。鋼 7.85 g/cm³、アルミ 2.70、304 ステンレス 7.93、チタン 4.51。ボルトトルクは T = K × D × F(K は乾燥で約 0.20、潤滑で 0.15)、軸受寿命は L10 = (C/P)^p × 10⁶ / (60n)(玉軸受 p = 3、ころ軸受 10/3)、ISO 286 のすきま・しめしろは H7/h6 のような組合せの IT 等級 5–11 から求めます。
使用シナリオ
- 新規部品のプログラム作成:工具カタログの SFM と 1刃あたり送りの推奨値を、制御装置が実際に受け取る回転数と送りに変換し、ポスト処理の前にサイクルタイムを見積もります。
- 作業途中の材料変更:6061 で 6,100 RPM だった 1/2 インチのエンドミルは、1018 鋼ではおよそ 1,530 RPM まで、ステンレスやチタンではさらに下げる必要があります。
- タップ穴の段取り:UNC・UNF・メートルねじの下穴径を調べ、G84 サイクルがピッチと合うようリジッドタッピングの送りを確認します。
- 見積り:形状と材質ごとの金属重量から材料費と輸送重量を、加工時間から同じ見積りの工数を出します。
- 初品検査:CMM の X/Y 偏差を GD&T の真位置度に換算し、穴パターンが公差域に入っているかをその場で判定します。
- 組立と治具:SAE グレード 5/8 またはメートル 8.8/10.9/12.9 の締結トルクを決め、アルミのタップ穴でのねじ込み長さをせん断強度と比べ、ISO 286 の圧入・すきまばめを選定します。
- 射出成形の条件出し:投影面積 × 射出圧力から型締力、肉厚から冷却時間を求め、ショットサイズ・保圧時間・ランナー寸法でサイクルを仕上げます。
よくある質問
マシニスト計算機とは何ですか。
マシニスト計算機は、カタログや図面のデータを機械の設定値に変換する現場計算ツールの集まりです。周速を主軸回転数に、1刃あたり送りを送り速度に、ねじ寸法を下穴径に、実測の X/Y 偏差を真位置度に変換します。MachiningCalc はそれらを一つのサイトにまとめ、フライス・旋削・穴あけ・締結・金型の作業ごとに別のアプリや表を用意しなくて済むようにしています。
工具径から SFM を RPM に換算するには。
RPM = (SFM × 12) / (π × D) を使い、D はインチです。12 はフィートをインチに直す係数です。メートル系では n = (Vc × 1000) / (π × D) が同じ関係で、Vc は m/min、D は mm です。直径が分母にあるため、工具径が半分になれば同じ周速を保つのに必要な回転数は倍になります。小径工具が高回転で、大径のフェイスミルが低回転で回る理由です。
下穴径はどう決まりますか。
メートルねじの下穴はねじ外径からピッチを引いた値で、これがねじ山かかり率 75% の古典的な目安です。M8 × 1.25 なら 8 − 1.25 = 6.75 mm、表では実際に入手できる 6.8 mm ドリルに丸めます。ユニファイドねじはインチあたり山数で同じ考え方を使い、1/4-20 は #7(0.201 インチ)ドリルになります。下穴を大きくすればタッピングトルクは下がりますが、ねじ強度も下がります。
真位置度が測定偏差の 2 倍になるのはなぜですか。
GD&T は位置公差を半径ではなく直径の公差域として指示するため、計算機は 2 × √(ΔX² + ΔY²) を返します。X に 0.003 インチ、Y に 0.004 インチずれた穴は、ピタゴラスの定理で公称から 0.005 インチ離れており、真位置度は 0.010 インチです。⌀0.014 の公差域なら合格、⌀0.008 なら不合格です。半径方向の誤差をそのまま図面指示と比べるのが、最もよくある読み違いです。
インチとメートルの両方に対応していますか。
対応しています。速度と送りのページはインチでもミリでも工具径を受け付け、SFM と m/min、IPM と mm/min を並べて表示します。下穴表は UNC・UNF・メートル並目・メートル細目を収録し、ボルトトルクは SAE グレード 2/5/8 とメートル 8.8/10.9/12.9 に対応、金属重量はキログラムとポンドの両方を返します。
結果はどの程度正確ですか。
式は標準的なもので材料表も公表された範囲を使っていますが、どの数値も保証ではなく出発点です。機械剛性、ホルダの振れ、工具の状態、クーラント、切込み量、使える主軸出力のすべてが加工可能な範囲を動かします。公表された SFM の幅が広いのもそのためです。計算値を一次の目安とし、テストカットで確認し、機械と切りくずが示すものを信頼してください。